エレベーターに一緒に乗り込んできた4才くらいの男の子が、
扉が閉まってすぐに、
『お母さん死んだ人がネジを巻くの ? 』って
遠慮がちに聞きました。
お母さん、ちょっととまどったった感じで
『なんのネジ ? 』と聞き返しました。
『エレベーターのネジ』と、その子は答えました。
私は3階で降りてしまったので、その後の母・子の会話を
聞くことはできませんでしたが、
なんだか心から感動させられました。
子供の心の世界は大人には
とても考えられない不思議なものなんですね。
私の子供が3才の頃だったと思いますが、
こんなことがありました。
車の中から、大きな荷物をかついでとぼとぼと歩いている
ホームレス(らしき)老人を見たとき、
「旅の人だね」って、言うのです。
なんと詩的な表現なんだろう。
夫婦で感動したことを今も覚えています。
もう1つ、
夜、家路に向う車の後部座席から窓の外を眺めていた息子が、
「お月様はどうしてずーっとついてくるの ? 」って聞くのです。
確かに、その感覚には自分も覚えがあります

その日、雲ひとつない夜空には
満月が冴えざえと銀色に輝いていました。

どのように説明したか今では思い出せませんが、
これは数学の世界ですから、
多分、月までの距離と、地球の円周と車のスピードと
人間の大きさの関係で説明したと思います。
もちろん子供にもわかる言葉で。
りんごが何故木から落ちるのか、という疑問から重力の存在を
証明したのはニュートンでした。
私の子供、月がついて来るという感覚を持ち続けてくれていたら
今頃は物理学者になっていたかも。
3才の子供の純な気持ちには全然応えられませんし、
先入観

でも、子供の頃の感性を大事に育てて行けたなら、
また育ててゆける社会だったなら、
世界はハッピーで心豊かな、驚きに満ちたものに
なるにちがいないと、考えさせられた、ひと時でした。
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